お子さまの治療について
お子さまは発育途上のため器官が大人と異なる形状になっており、同じ病気であっても症状の程度や期間が異なり、適した治療法も変わります。
抵抗力が弱く病気を繰り返すことも多いため、患部の治療と合わせ、専門医による丁寧な清掃が重要です。
耳鼻咽喉科領域における、お子さまの病気で多いものには、中耳炎、扁桃炎、副鼻腔炎(ちくのう症)などが挙げられます。
当院では耳鼻咽喉科専門医による適切で優しい診療を心がけ、お子さまも安心して通いやすいクリニックを目指しています。 どうそお気軽にご相談下さい。
お子さまのこんな症状に気づかれたら、ご相談ください
聞こえが悪い、最近テレビの音が大きい、よく聞き返す、耳あかが多い、耳を痛がる、耳をよくさわる、くしゃみ、鼻水、鼻づまり、鼻声になっている、よく鼻血を出す、のどを痛がる、咳、痰、扁桃腺が大きい など
聞こえが悪い
「テレビの音が大きい」「よく聞き返す」など、お子さまの耳が聞こえにくい状態であるならば、早めの受診をおすすめします。もし難聴だった場合、進行すると治療が難しいこともあります。難聴が考えられる場合には、連携医療機関にてのさらに詳しい検査をおすすめすることもあります。
ただし多くの原因としては、「耳垢がたまっている」「外耳炎」「中耳炎」などにより聞こえが悪くなっているだけのこともあり、このような場合には原因を治療することにより解決します。
耳垢が原因であれば、当院で数分程度で安全に取り除くことができますが、親御さんが綿棒などで耳垢を取る場合、耳垢を押し込んでしまって取りにくくなってしまったり、傷つけてしまう場合がありますのでお気を付けください。
基本的に耳垢は新陳代謝により耳の外側へ排出されていく仕組みになっているため、耳の奥に自然とたまってしまうような症例以外は、放っておいても問題ありません。特に子供の場合には上記のようなトラブルを生じることもあるため、ご家庭での耳掃除はおすすめできません。
よく鼻血を出す
お子さまの受診理由として、鼻血は多くみられます。親御さんはとても心配されますが、鼻血の原因としては、鼻の入り口の部分(キーゼルバッハ部位と言う)に傷がついたことによる出血のことが多く、この場合はそれほど問題になることはありません。
ただし放っておくと量が増える場合もありますし、まれにですが腫瘍や出血性疾患による出血のこともあるため、止まりづらい場合や頻度が多い場合は一度受診なさってください。
耳あかが多い
小さいお子さまは新陳代謝が活発で、油分も多く、耳垢もできやすい傾向にありますが、ほとんどの場合、耳垢は新陳代謝により耳の外側へ排出されていく仕組みになっているため、放っておいても問題はありません。
ただ、耳垢が詰まって聞こえづらい様子であったり、耳の奥でゴロゴロしてしていたりとお子さまが嫌がるようであれば一度受診なさってください。
耳垢を無理に取ろうとすると、押し込んでしまったり、傷つけてしまう場合があり、ご家庭での掃除はあまりおすすめできません。
耳を痛がる
元気に過ごしていたお子さまが急に耳の痛みを訴えてきた場合は、急性中耳炎の可能性があります。
痛み以外に風邪の症状や発熱などを伴っていることが多いのですが、痛み以外の症状がないこともあります。耳の周りを冷やしたり、常備しているお子さま用の鎮痛剤があれば、痛みの緩和に期待が出来ます。
また、鼻水がたまると症状が悪化することありますので、吸い取ってあげてください。
中耳炎の他にも、外耳炎やおたふく風邪、乳様突起炎などの場合もあり、詳しくは、耳の状態を調べてからとなりますので、一度受診なさってください。
耳をよく触る
特に3才頃までのお子さまは、耳が痛いとはっきり伝えることが難しいため、その代わりに、泣いたり、耳を触ったりして何かしらのサインを出します。
泣いたり不機嫌になりながら触っている場合には、中耳炎の可能性がありますが、外耳炎や単に耳垢が気になっているだけのこともあります。
いつもとは様子が違うお子さまからのサインを見逃さないようにしてください。
そして、早めの受診をおすすめします。
くしゃみ・鼻水・鼻づまり
風邪の初期症状かアレルギー性鼻炎の場合が多いです。
アレルギー性鼻炎は、ハウスダストや花粉が原因でアレルギー反応が出て、くしゃみ・鼻水・鼻づまりがでる病気です。
他にも目のかゆみや充血、涙目などの症状が出る場合もあります。
アレルギー性鼻炎は、一年中症状の出る通年性アレルギーと、ある時期だけ症状の出る季節性アレルギーがあります。その季節性アレルギーの代表格が「花粉症」です。
治療法としては、抗アレルギー剤内服、点鼻薬が主となります。
鼻声になっている・いびき
鼻声は一般的に鼻づまりなどを起こす疾患によって発生します。
原因としては、鼻かぜ、急性鼻炎、アレルギー性鼻炎、副鼻腔炎(ちくのう症)、アデノイド肥大などがあります。
アデノイド肥大は、こども特有の病気で2~5歳ぐらいのお子さまに特に多くみられます。
鼻とのどの境目にあるアデノイドというリンパ系の組織が、この年齢では大きく発達していることがあり、そうなると鼻や耳に様々な症状を引き起こします。
高度なアデノイド肥大の場合は、鼻づまり・鼻声・いびきを起こしたり、中耳炎を繰り返したりするようになります。
アデノイド肥大によるいびき症状が進行すると、睡眠時無呼吸症といって、睡眠時に呼吸が浅くなったり乱れたりする状態に進展することもあり、このような場合には詳しい検査や、連携医療機関での精密検査が必要になることがあります。
咳(せき)、痰(たん)
咳や痰が出るのは、のどや気管支の粘膜についた細菌やほこりなどの異物を体内から出そうとする自然反応です。
市販の咳止め薬を使うと、症状が長引いたり、悪化してしまう事もあります。症状が強く、お子さまが辛そうなときは受診をおすすめします。
せき・たんの原因としては感冒のみにとどまらず、鼻炎、副鼻腔炎(ちくのう症)、アレルギー、喘息、気管支炎などがありますが、このうち喘息や気管支炎などが疑われる場合には、小児科による専門治療をおすすめすることもあります。
のどを痛がる
原因としては、感冒、咽頭炎、扁桃炎などがありますが、特に小児で咽頭炎や扁桃炎を生じる場合には、溶連菌感染症やアデノウイルス感染症などのこともよくみられます。
咽頭炎や扁桃炎では、症状が重くなると高熱が出たり痛みで食べれなくなったり、唾液も飲み込めなくなります。ウイルスや細菌が咽頭や扁桃(扁桃腺)に感染することによって引き起こされます。
また溶連菌感染症の場合には、咽頭や扁桃の炎症による痛みや発熱・高熱の他、舌に赤いブツブツができます。全身に発疹が現れる場合もあります。
アデノウイルス感染症は、夏に流行ることが多い、咽頭炎の一種です。高熱が出ることが多くみられます。プールで感染することが多いため「プール熱」の別名がありますが、プール以外の飛沫感染でも感染するため、夏以外の季節にも流行することがあります。
中耳炎
耳の構造は、大きく「外耳」「中耳」「内耳」に分かれますが、この「中耳」の部分に細菌やウイルスなどが感染して炎症が起きたり、液体がたまる病気が中耳炎です。耳の痛みや発熱、聴力低下などが起こります。
とくに赤ちゃんや子供に起こりやすく、5~6歳までに8割程度がかかるともいわれます。 耳の痛みはひどく痛むこともあれば、たまに痛む程度のこともあります。 赤ちゃんや子供は、言葉で痛みを表すことができないので、耳によく手をやったり、耳に触られるのを嫌がったりすることがあります。 このような症状のサインを見逃さないようにしましょう。
子供の中耳炎は大きく分けて、(A)急性中耳炎、(B)滲出性(しんしゅつせい)中耳炎、の2つがあります。
急性中耳炎では、中耳への病原菌の感染によって膿(うみ)などがたまるため、痛がったり頻繁に触ったり発熱があったりなどで気づかれやすいのですが、いっぽう滲出性中耳炎の場合には、中耳に液体が貯まっているだけのため、聴力低下や耳がつまった感じなどは感じていても痛みを感じることはほぼないため、自己表現がまだうまくできない乳幼児の場合には、気づきにくいこともあります。
ただこのような場合でも、よく観察していればいつもよりも聞き取りにくいことが多かったり、よく耳を触ったりするなどの症状に気づくことも多く、このような症状が見られる場合には耳の診察が必要です。
急性中耳炎も滲出性中耳炎も、短期間に多く繰り返したり、長く続いたりしている場合には、鼓膜を切って膿や液体を抜いたり、鼓膜に換気するためのチューブを挿入したりなどが必要になることもあります。
扁桃炎
扁桃炎は、ウイルスや細菌によって起こる扁桃腺の病気です。
いっぱんに言う扁桃腺というものは、医学的には口蓋扁桃(こうがいへんとう)といい、口蓋垂(こうがいすい)いわゆるのどちんこの両側に見られる盛り上がりの部分です。扁桃はリンパ組織でできており、病原菌が感染しやすい場所です。
特に疲れがたまったり、風邪をひいて体力が落ちているときなど、病原体に対して免疫力が不十分な場合は、病原菌やウイルスが扁桃に感染してしまうことが多く見られます。
小児における扁桃炎では溶連菌による感染症のことも多く、この場合には心臓や腎臓などにも異常が出てくることがあるため、小児科での診療が必要となることがあります。
副鼻腔炎(ちくのう症)
細菌やウイルスの感染による炎症や、アレルギーによる炎症などが、副鼻腔に起こった状態が副鼻腔炎です。一般に言われているちくのう症とは、医学的には副鼻腔炎と呼ぶのが正式な呼び方です。鼻づまりや鼻水、頭痛、歯の痛みなど、さまざまな症状が起こる病気です。
小児の場合には、まだ副鼻腔が発達していないことも多いため、鼻水や鼻づまりが強くても、単なる鼻かぜや鼻炎であることも多いのですが、副鼻腔炎を発症してしまっている場合には、長期化してしまう恐れがあり、長期化してしまうと鼻水・鼻づまりのために、口呼吸が多い、集中力に欠ける、注意力が散漫になる、イライラしやすい、といった症状も出てきて、子供の発達に影響が出たり、勉強やスポーツの成績が低下してしまうなどの影響が出てしまうことがあります。
大人の場合にも、同様に鼻水・鼻づまりが強くなり集中力が欠けるようになったり、後鼻漏といってのどに鼻水が落ちてくる症状に悩まされたり、また慢性の頭痛や慢性の咳の原因になることもあります。
副鼻腔炎があると、中耳炎、いびき、睡眠時無呼吸症などの他の病気を引き起こすこともあるため、しっかりと治療する必要がありますが、薬剤耐性菌の感染や真菌(カビ)の感染による副鼻腔炎の場合や、また好酸球性副鼻腔炎のような特殊な副鼻腔炎の場合には、非常に治りづらく、手術などの治療を必要とすることもあります。
お子様連れの患者さまが、楽しく過ごせるように環境を整えております。ご利用ください。